真夜中の弥次さん喜多さん【弥次喜多道中膝栗毛@しりあがり寿】

小説 真夜中の弥次さん喜多さん (河出文庫)


ネタバレ注意

観てきやした。


これは、「この役者はこんなこともできます」カタログだな、こりゃ、
と思ってしまった。


女形七之助ちゃんのいぢらしさと
好きになったら一直線だぜーーーーー!!!の長瀬君一途さがいいの。
この2人がすこぶるかわいい。(笑)
でもね、2人の珍道中は単にかわいいだけじゃなく、ぶっ飛んでる。


実はクドカンのドラマは、『タイガー&ドラゴン』が初めて。
あのスピードとテンポの良さ、場面の切り替えの妙が爽快。
っていうわけで、今回も超期待。
おまけに、原作は『ひげのOL』のしりあがり寿だ!!!


で、ストーリーは予想通り訳分からない。(爆)
いや、分かるわけないって。(´ー`)
でも、分かんなくていいの。原作がシュールなんだから。(多分←読め!)
でも、一応。
ぶっちゃけ、ストーリーは、ヤク中で借金まみれの喜多さんがヤク中から立ち直ってくれることを期待して、
その恋人の弥次さんがお伊勢参りを思い立つってもの。
その道中の間に起きたさまざまなできごとをシュールに…。

というわけで、何も考えずに観ればめちゃくちゃ面白い。
というか、何も考えずに観ろって感じ。(笑)
大体さー、女子高生の格好が似合う歌舞伎役者とかさー、
アーサー王」になりきるその父親とかさ、
調子のいい岡っ引き(=長瀬君)になりきる妻夫木聡とか
お茶一杯入れるたびに歌って踊るぐっさんとか
見所いっぱいですよ、ホント。
多分、監督以外はみんなものすごく楽しかったと思う。


監督は、クドカンさんは、ものすごく胃が痛かったと思うな〜。
こんなに個性的な人々に演じてもらって、こんなにシュールな映画を
撮るってんだから、胃が痛くならないわけがない!(笑)
下手すりゃ空中分解しちゃうもん。
でも、ある意味、期待通りのバカもん、いやキワモノができあがりましたよ。


個人的にツボにはまったのは、阿部サダヲ
役名は、え〜と、あれは岡っ引き?? 現代でいうところの刑事さんだ。
長瀬君の奥さんの小池えいこちゃん(すんもはん。役名覚えるの苦手なんで)の遺体が
発見されて捜査に入るんだけど、部下ののんのん(だっけ? この人は役名、しかも愛称しか覚えてない 
(;^_^A)と一緒に被疑者・長瀬君を追って江戸からお伊勢まで旅しちゃう。


彼にとっては、金色の風呂場のイスが大事なアイテム。いい男の証。
のんのんにも「あれ、持って来ーい」とか言ってるわけ。
ちなみに、のんのんは阿部サダヲよりかなり背が高い(設定)。
しょっちゅうカメラのフレームからはみ出て阿部サダヲから怒られる。
いや、怒られてるのはそこじゃなくて、「俺より背が高い。気に入らない」って
ことなんだけど、やる方も観る方もそこで突っ込まないのはお約束、みたいな。
(いや、阿部サダヲ言ってるな。「おーい、俺より高いゾー。(しゃがめ!)」みたいな。(笑)


唯一期待を裏切られた感があるのが、松尾スズキ(だよね、あれ)の『ひげの花魁』。
ちょっと面白くなかった。
どこが?と聞かれると困るんだけど、なんか、温泉宿屋のおやぢの余興の域を出ていなかったような…。


無駄に(笑)インパクトが強かったのは、荒川良々
なんか、夢に出てきそう。(´ヘ`;)
人間、魂だけになるとみんな同じに見えるってのは分かるけど、
それが荒川良々になっちゃうってのがどーも…。
しかも、終盤に特大の小池えいこちゃんが出てくるんだけど、
それが既に魂になっちゃってるんで、声だけが小池えいこちゃんで
体は荒川良々ってところが笑えるけど、怖い!!!
さらにエンディングのクレジットロールには、画面のあちこちをところ狭しと
荒川良々の集団が踊りまくって横切っていくってゆー、
もー、ある意味悶える画作りになってる。
いや、あれはあれで必要なキモさだったのかも。(;^_^A よー分からんけど。


というわけで、総評
DVDで見ればよかった!! (え〜、なんでやねん?)
いや、面白かった、面白かったのよ!!
それは間違いない。
でも、これをデカいスクリーンでやる意味がよく分かんなかった。
強いて言えば、富士山のなんとかアートをそれらしく見せるために
デカいスクリーンが必要だったのかもしれないけれど、それはそれ。
なんていうか、私にとって、映画の寅さんをTVで観たいって感覚なのよ。
懐かしい寅さんの映画を、映画館には観にいかず、あえてTVで観る楽しみ、みたいな。
(って、映画と同じ訳分かんない総評になっちゃったな。)